← Back to DIALOGUE List

DIALOGUE

CHIYODAYA

お仏壇の製造には「八職」といって8~11種類の職人さんが関わられていると聞きました。日本の伝統工芸のあらゆるものが集まって一つのお仏壇を作っているんですね。千代田屋さんで企画をされてデザインから制作まで全てプロデュースされるという事ですか。

そう。デザインといっても図面がないから、打ち合わせは職人さんがここに来て、基本口頭で打ち合わせして、各々がそのように作業して、最後に組み立てる。なので、初めてお願いする職人さんだと、どういう仕事をしてくれるかがわからないからやりにくいです。昔は常連の職人さんと組んで作ることが多かったんですけど、ここ20年くらいははじめましての人も多い、むしろ、うちは逆にそうやってどんどん繋がりを広げている。僕が職人さんと繋がるのが好きだからね。

今回発表するプロダクトは「コート千代田屋さんでは仏壇の解体や洗濯などのメンテナンスもされているんですよね。名古屋仏壇はお洗濯を繰り返せば半永久的に引き継いでいけるということですが、そのためには解体することを前提に作る、という手間と技術が必要ということですよね。ということですが、具体的にどのような素材をどのような工程で制作されていますか? 

この名古屋仏壇は100年問題なく保ちます。名古屋仏壇はリフォームすることが前提で、解体できるように作る。解体修理する費用というのはね、最高に直しても新品の3分の1です。だから、祖父が買った仏壇を、お孫さんは3分の1の費用を出せば買った時と同じ状態のものが戻ってくる。買う側も売る側も良いっていう仕組みだね。名古屋仏壇には、サインが入ってるんですよ。買った時の記念に、いつ購入したっていうことを書くの。お店の名前も書いてある。だから、例えば何十年か後に修理に出す時に、「この仏壇は、お母さんが30歳の時に買ったんだね」とかいう会話が出てくる。仏壇から、そういう家族の思い出が見えてくる。

最初に買っていただいてから修正するまでの間が大体50年くらい。だから、ここには先代の作ったものが年に何本か修理で戻ってきます。戻ってくるのを直しながら新品を売ってくというサイクルがあって、名古屋仏壇の業界は成り立ってきた。でもね、今は予算がないからと言って、リフォームできんような仏壇を売っているから、業界の将来がないんです。修理するということは、自分の次の代にも仕事を残すということだからね。

それにとにかくね、伝統工芸品というからには、やっぱり、そういうものが戻ってきても直せるだけの技術を担保しとくっていうのも重要なことです。そういうことができるように、うちはどんな職人さんとも繋がっておく。ちなみにね、実際、名古屋の中で、仏壇のことを全部できますよっていうところはもうほとんどないと思いますよ。

1 2 3 4