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DIALOGUE

ANDO SHIPPO

今回新しく作るものにジュエリーを選ばれたっていうのはどういう理由がありますか。

マーケットが大きいと思ったっていうのが1番の理由です。今まで作ってきたものの需要が減っている中でも、アクセサリー・宝飾に対するお客様の購入意欲高いなっていうのは感じていました。そこをもう少し掘り下げたらいいかなっていう思いはありましたね。

ブランド名の「J・ANDO」はどのような意味がありますか。

今回はアクセサリーの新しいブランドとして「J・ ANDO」って名前をつけたんですが、これは、元々、当社の創業者の名前が安藤重兵衛と言って、J ・ANDOっていうのが昔の海外でのブランド名だったのです。今でも海外からJ・ ANDOの花瓶を持ってるのだけど、調べてくれないか?とか、資料に残ってないか?と問い合わせメールが来るのです。だから、もう1度、同じ名前で復活させたいなと。

「七宝」の名前の由来も興味深いと感じました。仏教典にある<七つの宝石>が語源になっているとのことで、その七つの宝石ほどに美しい焼き物である、ということから付いた名前ということですが、安藤七宝さんはまさにその宝石よりも美しい技術を使ってジュエリーブランドを立ち上げられるということですよね。そのストーリーがすごく面白いなと思いました。

そうですね。今回コラボレーションしたデザイナーさんがおっしゃってたのが、やっぱり従来、例えば宝石を使う場合には、その石が持つ色数しかない。で、金属も金属の持つ色数しかない。でも、七宝に関しては色ガラスで、色数が多く使えるっていうのはやっぱり魅力の1つだっていう風におっしゃられたんです。それは自分たちにとって当たり前だったんだけど、まあ、言われてみれば確かにそうだよねと思いました。で、七宝っていう名前も、元々は仏教用語の「数々の金銀財宝に匹敵するぐらいの焼き物」っていう意味合いなので、やっぱりここは色が勝負どころかなって感じがしますよね。

安藤七宝さんの作られている七宝焼の色には、独自の企業秘密があるんですか。

ないわけじゃないですね、というか、本当に作りたいと思うものがあると、色から作ります。後、技術的な話をすると普通の絵具の場合は赤と白を混ぜるとピンクになるじゃないですか。でも、七宝の釉薬は、赤と白を混ぜても、赤い粒と白い粒がそこに出るだけで、混ざらないんですよ。もし、赤から白へのグラデーションを表現しようと思うと、中間色の釉薬をわざわざ差す。だから赤、ちょっと薄い赤、さらに薄い赤、ピンク、白みたいな。それぞれに色を差していくっていう技術はありますよね。企業秘密とまでは言わないんですけど、発色の良さとか、そこの苦労はありますね。

普段は社内でデザインや企画をされていると思いますが、今回は外部のデザイナーとのコラボレーションの中で、新しい技術や、新たに取り入れた思考、視点の変化はありますか?

今取り組んでいる最中なんで、まだ具体的にこれがっていうのはないです。ただ、やっぱり七宝焼きって作るにあたって制限が色々あるんですよねえ。形ですとか、色や値段、技術的にもデザイナーが想定したものがそのままの形や色として出来上がるというわけではないのですよ。

七宝とは何ぞやっていうところを理解してもらって、そういう部分がないとデザインができないので。ですから、今までなかなか外部にお願いしづらいかったっていうのはあるんですよね。とはいえ、それだと結局自分たちの中でしか物事を考えられなくなるので、ついてはということで。もう今回は海外の人たちのデザインを積極的に受けて、もう僕たちの常識で、それはできないよっていう最初からNOの返事じゃなくて、それをどうやったら作ることができるのかっていうような、そういうふうに思考を変化させたところが今のとこの立ち位置です。

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