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DIALOGUE

TAKEDA KAHEI SHOTEN

今作られてる商品はガウンですよね。ガウンという商品は今までに製作されたことがありましたか。新たなプロダクトを制作することは、どのような意味がありますか?

自社では一度も作ったことがありません。だから正直、そのアイテムも驚きです。というのも、ガウンというものは日本の文化にはあまり馴染みがないものですよね。実際ヨーロッパの方々がどういう使い方してるかわかんないけど、ガウンとかバスローブとか、映画なんかを見てると着ているから、そういう需要があるのかもしれないな。面白いなと思いました。ただ、実際に僕らも日常生活では使っていないものだし、作ったものがどうなのかなっていう不安は少しあります。

今回のプロダクトに使われている素材の特徴はありますか?

素材は綿なのですが、綿素材の選択にはやっぱりちょっと苦労してます。綿だけど高級感が出るようなものにこだわっています。

なぜ着物に使われる絹ではなく、綿という素材を選ばれたのでしょうか。

なぜ綿というコンセプトにしたかっていうと、有松は元々手ぬぐいを絞りはじめたのが発祥で、今でも浴衣などの商品のイメージが強いです。そもそも竹田庄九郎さんが1608年にこの地に入ってきたわけですけど、その時に手ぬぐいを作って販売しようと思ったのは、綿という素材があったからなんです。その当時、このあたりでは綿の栽培が安定してできるようになったんです。三河木綿や知多木綿という素材です。そういった歴史的原点のイメージもあり、今回のガウンは綿素材で作ろうということになりました。

ガウンの制作に使われている絞りの技法はどのようなものですか? 

技法は「突き出し鹿子絞り」「杢目絞り」「帽子絞り」この3種類を使ってます。この技法自体は、もうずっと昔から変わらずあるものです。古川さんのデザインをうまく表現できる絞りを選びました。

技法が3種類あるということは、それぞれ違う職人さんに発注されるということになりますね。この3種類のバリエーションを作ることで、お仕事が増えるわけですね。

そうですことですね。

有松・鳴海絞は、下絵のない技法や、その職人さんにしかできない技術があり、機械化することが難しいものだと思いますが、この時代に手でものを作ることは、竹田嘉兵衛商店さんにとって、どんな意味があると思いますか?の技術の伝承について、どんなビジョンを持っていますか?

これからAIによって技術は進歩してゆく。今はまだできないけれど、機械が人と同じ動きをできるようになれば絞りもできるかもしれないところまで来ていますよね。
だからこそ、逆方向の実際の本当の人間ができることがもう一度注目されるんじゃないかなって思っています。両極だけど進歩すればするほど、逆にこっちのクラフトの部分、人間らしいっていう方が絶対に再注目されると思うので、そこに期待をしています。

長い時間と手間暇をかけて作られたプロダクトを、どういう方に使ってもらいたいと考えていますか?

万人に色々使ってもらえるのが1番理想ですが、中でもヨーロッパという文化レベルの高い地域で、手仕事の素晴らしさだったり、職人さんの思いだったり、歴史の重みをより感じていただける人にご提供できるのがベストだと思っています。

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