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CREATION

YAMAKATSU SENKO

In Praise of Life

日本の伝統衣装、キモノ。世界で充分名の知れたキモノですが、形も素材も多様性があることはまだまだ知られていません。山勝染工が1919年より受け継いできた歴史ある着物、それが「名古屋黒紋付」です。黒紋付は、艶のある深い黒で染められ、紋を入れた着物として身近に着用されてきました。また古くから人生の大切な節目を大切な人達と分かち合うため、日本では礼装としてこの美しい黒を愛用してきました。

この度、黒紋付で使用されている山勝染工の特殊技法、「黒染め」によるウールコートコレクション、『In Praise of Life』が完成致しました。もっと日本の文化を身近に感じてほしいという中村氏の思いを受け、デザイナーが自身の祖母から引き継いだ着物の形を研究し、「黒染めKIMONOコート」、「黒染めHAORIコート」、「黒染めHAORIケープ」の3点へと発展させました。

素材は尾州ウールを使用。名古屋市と同じく、愛知県内に位置する一宮市を中心としたウール産地の生地を使用することで、生地から染めまでを一貫して同地域で製作しました。美しい黒の文化を纏い、世界の人々が「人生を礼賛」されますよう願っております。

世界中で愛読されている本のタイトル『In Praise of Shadow (陰翳礼讃)』を元に、コレクションを名づけました。

技法:
「黒染め」
黒染色のみでは、十分な深みのある黒が得難く、古来より紅下染めが行われています。生地の5%程の紅の染料を熱湯に溶かして染液を作り、それを染浴槽に入れ生地を染めます。長年経験のある職人にしか分からない、染料の調整が行われます。黒を200%~400%濃度で染め、色が出るのを止めるのに、当社では水に一昼夜つけます。より堅牢な染色になり、時間が経っても色があせず、丈夫で艶のある黒色となります。昔ながらの製法なため、手間も時間もかかりますが、人の手で作られた温かさと丈夫さ、美しい黒の仕上がりは高く評価されています。

MAKER

山勝染工株式会社 / 名古屋黒紋付染

名古屋黒紋付染を手掛ける山勝染工は1919年創業。名古屋黒紋付染の他、着物の染め、洋装などの各種染色、染め直し、シミ抜き等を手掛けている。

名古屋黒紋付染の起源は、1610年に尾張藩士小坂井家が、藩内の旗、幟(のぼり)などの製造にあたったことが始まりといわれている。その後の需要の増加に伴い、職人達の手によって名古屋独自の技法が生まれ、400年以上も守り継がれてきた。その特徴は、布地に家・氏族などの象徴となる紋を染め抜く技法「紋当金網付け(もんあてかなあみつけ)」と、染液の温度を高めにし、時間をかけて染めることで得られる堅牢度が高い黒色。人の手だからこそ生み出すことのできる深く味わいのある美しい黒色は、多くの人を魅了している。

山勝染工の企業理念は「伝統を守ることは、変化を続けること。伝統の「黒」を守りながらも、変化を忘れない。」を掲げている。近年では、これまでに培ってきた染めの技術を伝承・継承していくために、今の生活様式に合った形へと変化をさせるべくさまざまなことに取り組んでいる。ストールやアパレルなど、従来の着物にこだわることなく、様々な伝統の技術を駆使して色々な布地を染めもおこなっている。伝統産業の新しい「染めの可能性」の世界を展開しながら、日本の文化の素晴らしさ伝統技術の素晴らしさを発信すべく、挑戦を続けている。