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CREATION

CHIYODAYA

I-RO-HA

昔から家の中で一番重要な部屋に置かれ、大切にされてきた仏壇。仏壇には先祖代々の写真が飾られ、花などが供えられており、家族の健康を祈ることや日々の願いを唱える場として親しまれてきました。また習慣的に自分自身と向き合う時間ともなっております。

仏壇は多くの職人により様々な工程を経て出来上がります。千代田屋3代目の櫛田氏は、漆塗りや金箔貼り、組み立てに長年携わってきました。またお寺などの修復作業にも力を入れています。 

これまで培ってきた豊富な知識と熟練の技を活かし、バニティボックス『I-RO-HA』を製作いたしました。 『I-RO-HA』とは、日本語で物事の基本や手順を意味する言葉”いろは“から名付けられました。 自分自身を見つめ直し、対話する時間を過ごしていただきたいという思いから、 「”I”=Intimate(内面)」、「”Ro”=Routine(慣習)」、”Ha”= Harmony (調和)」の意味が込められています。 3種類の大きさからなるバニティボックスは、鏡付きボックス、蓋式/扉式ボックス、引き出しからお選びいただき、用途と好みに合わせて様々な組み合わせでご使用いただけます。 
 
毎日のルーティーンとしてご愛用ください。皆様の心の内面を調和させる大切な時間となることでしょう。 

技法:

「漆独自技法黒砂仕上げ」
伝統的な材料を使用し、千代田屋が独自に開発した漆塗装法です。黒砂のような独特な風合いを演出いたしました。

「純金梨子地塗り呂色仕上げ」
漆塗装の途中に純金梨子地を部分的に蒔き、塗り重ね、表面を研磨してツヤを出し、純金梨子地を輝かせる技法を施しました。

「拭き漆仕上げ」
黒や朱など独特の鮮やかな色合いと深い艶のある漆器は、下地、中塗り、上塗りといった工程を経て、漆を幾重も塗り重ねるいわゆる「漆塗り」の技法によるものです。一方で、木地に透けた生漆を塗っては布で拭き取る作業を繰り返し、木目を 生かして仕上げる技法を「拭き漆(ふきうるし)」といいます。今回は漆塗布を5回繰り返して完成させました。 

「錺金具(かざりかなぐ)」
取り付け位置に形を合わせ、銅板に模様を「刻む」・「彫る」などの加工を行います。 模様は「鏨(たがね)」という鉄(鉄を硬化させたもの)の道具を使います。 これらはいろいろな模様がありその模様をつなぎ合わせて理想の模様を彫っていきます。 今回の飾金具はシンプルなのに腕前で完成度が左右されるナナコ模様を採用しています。 

「漆塗り」
年月を増すごとに硬化して透明になっていく性質を持つため、塗った直後よりも、何年も使用した後の方が強度が増します。塗布してから20年後がもっとも強度が上がります。加えて、防腐、防水、防虫、防薬、抗菌、絶縁など、非常に強固な性質を持ち、大変頑丈で優れた塗装法です。

MAKER

合資会社 千代田屋 / 名古屋仏壇

千代田屋は、1935年創業。今年で87年の歴史を持つ。仏壇・仏具の製造、修復を手掛けるほか、その技術が評価され、祭屋台・寺院内陣・仏像・神輿の新調・修復などを幅広く手掛けている。

名古屋仏壇の特徴は、豪華絢爛な構造を持つことで知られている。「組木ほぞ組み」という釘を使わない組み立て式構造で成り立っており、組み立て・解体がしやすく、補修や手入れが行えるという合理性を兼ね備えている。また名古屋仏壇の原材料にはヒノキ、ケヤキ、栓(セン)など、高級な材質の木材が使用されている。これは良質の木曽ヒノキを豊富に産出する木曾地域が尾州徳川家の領地であり木材集散の地も名古屋に定められていたことや、慶長十五年(1610)から掘られたという堀川により陸・海の物流網が発達し、名古屋の木材関連産業が発展したことなどに起因する。

千代田屋の三代目・櫛田信明(くしだ・のぶあき)氏は、職人として33年のキャリアを持ち、名古屋市の伝統産業優秀技術者として表彰され、優れた技術を持つ。加えて、独自の目利きを通して優れた技術を持つさまざまな領域の職人や優れた素材調達先とのネットワークを築いており、伝統的な技法と新しい技術とを組み合わせて、従来にないものを創造することに積極的に取り組んでいる。