Patrimoines
400年以上の歴史を持つ有松絞り。絞り染めといえばtie-dyeとして世界中で知られていますが、有松絞りは他に類を見ないほど多くの種類と技法があり、その数は100以上とも言われています。また、有松は江戸時代の街並みが今でも残されており、その景観は日本遺産に指定されています。中でも竹田嘉兵衛商店の竹田邸は名古屋市の有形文化財に指定され、大変貴重な建物として訪れる人々を魅了しています。
『Patrimoines』(パトリモア=遺産)はその名の通り、有松の歴史的遺産から生まれたガウンコレクションです。竹田邸の意匠からインスピレーションを受け、製作された3種類の柄をお届けいたします。
「Pied de Phénix」(不死鳥の足)
天井に描かれたフェニックスからインスピレーションを受け、まるでフェニックスが歩いたかのような柄を表現いたしました。千鳥格子はフランス語でPied de Poule(雄鶏の足)と呼ばれています。この新しい千鳥格子をPied de Phénix(不死鳥の足)と名付けました。
絞り技法: 突き出し鹿子絞り
粒の一つ一つを糸で括って仕上げる為、非常に根気のいる作業です。仔鹿の背の班点のような模様が染めあがります。
「La Lune」(月)
竹田邸の欄間にデザインされた月をモチーフに、まるで遺跡のカケラを集めたような模様を散りばめました。
絞り技法: 小帽子絞り
これほどまでに複雑で多様な図形を絞りで表現することは非常に難しく、有松の人々だからこそ実現できた柄と言えるでしょう。
「Toits」(屋根)
瓦屋根が連なる歴史的な街並みはまるで浮世絵の世界に紛れ込んだような錯覚を覚えます。
竹田邸の見事な瓦屋根が波打つ美しい様子を表しています。
技法: 杢目絞り
不規則な縦皺が樹木の木目のように見えることから名付けられました。杢目絞りで曲線を描くという、複雑ながらも複雑に見せないという高い技術力をご覧いただけます。
ガウンを羽織りながら、ゆったりと流れる時間を有松の歴史と文化と共にお楽しみください。