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DIALOGUE

YAMAKATSU SENKO

山勝染工さんのこれまでの歴史の中で、今回のプロジェクトを通じて新たなプロダクトを制作することは、どのような意味がありますか?

僕らって次の世代に残すために何やったら正解というのがない中で、今探しているんですよ。今回のプロジェクトに参加して、海外に行くことが本当に正解かもどうかわからない。でも挑戦しないと、その答えを探さないと次に残らないから、やらないといけないかなと思ってる。次の10年20年って言いますけど、5年先も見えないです。これだけAIが進んで、将来皆さんが洋服を着ているのかすらわからない。仮想現実になれば服を着る必要もなくなりますもんね。でも、そこで着物っていう文化的な価値のあるものって、やっぱり大事になってくるんじゃないかなって思っています。

今回発表するプロダクトは「コート」ということですが、具体的にどのような素材をどのような工程で制作されていますか? 

染めの工程は着物と同じように、赤染めをしてから黒染めをします。素材はウール100%です。昔はウールの着物もありましたから、技術的に難しいとかっていうことはないないですよ。

デザイナーとのコラボレーションの中で、新しい技術や、新たに取り入れた思考、視点の変化はありますか?

僕らもアパレルのお仕事をやっているので、自らやっちゃうところがあるけど、プロフェッショナルとしてやれる範囲はあくまでやっぱり染め。やっぱり分業しないといけないということを改めて認識しました。きちんとデザイナーにデザインをしてもらって、それを僕らがきちんと染めて、一つのものを完成するという事です。

 デザイナーさんとのやり取りの中で、今回、一つのテーマとして着物文化というのをヨーロッパに展開するために、着物というものをずいぶん解釈し直していると思いますが、出来上がってきているものを見て、中村さんとしてはこれは新しいチャレンジだと感じていますか。

そこはちょっと難しいところです。僕はスタートの段階で、着物でも着れるようにした方がいいかなっていう話をしたんです。でも上がってきたものは着物の袖は入らないデザインだった。でも、ヨーロッパでのアウトプットを知ってるデザイナーが、女性目線で女性が着るものって考えた時に、この方がいいと思った訳なので。お任せした以上は、僕らの仕事は、それをまず忠実にまず作ることだと思っています。

今回のプロダクトを作るのに関わってる山勝染工さんは、4、5年ぐらい前に一度アメリカに進出するっていうチャレンジをされていますよね。そこで学んだこととかも踏まえての今回のプロジェクト参加だと思いますが、前回から今回のチャレンジへ生かされている点はありますか。さんは何人くらいですか。

前は僕らの作っているものをアメリカ流にして持っていくっていう話だったんですが、アメリカで売りたかったら、アメリカ人にデザインさせないとダメだよって言われたんです。アメリカ市場に出ていこうと思った時には、今のものを全部捨てて、アメリカ仕様にしないと出ていけないんですよね。まず、サイズが違う。それにやっぱり文化が違うので、僕がいいと思ったものが、向こうがいいと思わない。だから、さっき言ったように、デザイナーの古川さんが現地にいるんであればね、その人と話をすればいいかなと思う。

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