← Back to DIALOGUE List

DIALOGUE

YAMAKATSU SENKO

山勝染工さんでは、着物以外に洋服や染め直しなどの事業もされていますね。

洋服や染め替えの事業をやっていなかったら、多分、うちの会社はなくなってたかもしれない。コロナがあって、和装のお出かけがないからね。僕らは着物じゃなくて、洋服にシフトしていた分、多少良かったと思います。染め替えをやっている中で、SDGsも叫ばれつつあって、結構話題に取り上げてもらったりとかしましたし。今、着物だけしかやっていない会社は、ちょっときついんじゃないかなっていうのは思いますね。

僕が来るまでは、山勝染工では着物の染しかしたことなかったんですよ。洋服の染は、設備は一緒なんですけど、染料も全く違うし、やり方も違うので、洋服などの日と、着物の黒紋付染めをやる日っていう風に分けています。ここでも昔は毎週のように黒染めをしていたんですけれど、今は紋付の仕事は月に1度です。

山勝染工さんではこれから先の技術の伝承について、どんなビジョンを持っていますか?

イタリアとかだと、マイスターって言って、職人の地位はすごい高いじゃないですか。僕たちも、日本の工芸がそういうマインドになるなってくれるまで耐えないといけない。でもね、まず儲けないといけないですね。今、次の世代を入れても先が見えないってことは、次世代を入れたらかわいそうじゃない。そのためには、僕らがどうやって、次はこういうことをやれるようにとか、できるようになってないことには。

この時代に手でものを作ることは、中村さんにとって、どんな意味がありますか?

僕らは究極のアナログを目指さないと。僕は手でものを作ることに意味を持ってるし、その価値があると思うから残さないと。ゆくゆくは、もっと価値が出るんじゃないかなと思っていますけどね。手で作ることをやめたら、人が物を作れなくなっちゃいます。
手で作ることがあるからこそ、機械化できるわけじゃないですか。手を動かしてイマジネーションすることで、物作りができると思います。全部3Dプリンターになったら全部同じものしかできなくなります。多分、頭を使うこともなくなるんじゃないですか。
あれやこれやってディスカッションしたりとか、テストをしたりとかして手を動かすっていうのがなくなったら、もの作り自体がなくなっちゃうんじゃないかな。だから、僕らはそういうことは守っていかないといけないんじゃないかな。

究極ってやっぱ、今の時代でも手なんですよ。例えば、レクサスの最高峰のエンジンは全部手で組むんですよ。機械使いません。一品物じゃないけど、職人の技なんですよね。そこを目指さないといけないですよね。究極を目指すことは僕らにとっては、当たり前のことなんです。機械化するとかも考えたこともなければしちゃいけないと思う。

1 2 3 4